MENU

ワンピースに見るポストモダニズム~監獄副署長ハンニャバル好感度up編

NETFLIXにまんまとはまり、近頃はワンピースに夢中(そういう意味ではU-NEXTも恐ろしい)。

インペルダウン編もいよいよ大詰めのTVアニメ・ワンピース。ハンニャバル副署長の男気溢れる正義感が、ここに来て炸裂、な場面。

ルフィー進入に端を発する脱獄騒動というどさくさにまぎれ、脱獄を故意に見逃し責任をすべて署長に押し付けようとするなど、ことある度にマゼランを失脚させ署長の座を狙う「あからさまな貪欲出世願望丸出しの卑劣な無責任男」であったハンニャバルだが、ここ446話で命をかけて正義を叫ぶ姿に感動を覚えたのは私だけではないはず。

兄エースを助けるべく先を急ぐルフィーにボコボコにやられながらも、倒されても倒されても不屈の意思で立ち上がるハンニャバル。看守たちの「やめてください。死んでしまいます」という静止の声にも耳を貸さずルフィーの前に立ちはだかる並々ならぬ固い意志。ここでハンニャバルが世界政府の大監獄インペルダウンに赴任してすぐの20年前のモノローグをさりげなく挿入するという演出もにくい。あのハンニャバルがこれほどの男気を見せるとは予想してなかっただけに、それまでの無責任で狡猾な姿との絶妙なコントラストは、視聴者の期待を心地よく裏切ってくれた。

「社会のゴミが奇麗事をぬかすな! 貴様らが海へ出て存在するだけで、庶民は愛する者を失う恐怖で夜も眠れない。か弱き人々にご安心いただく為にに凶悪な犯罪者達を閉じ込めておくここは地獄の大砦。それが破れちゃこの世は恐怖のドン底じゃろうがィ。出さんと言ったら一歩も出さん!」

ハンニャバル、かっけ~。インペルダウン副署長の誇りと意地と正義感。ルフィーは兄の命を救うため、ハンニャバルは世の人々を守るため、二つの正義がぶつかり合う。結局は、力の差は歴然、ルフィーに軍配があがるわけだが、その後、遅れて登場したマゼラン署長が、瀕死で横たわるハンニャバルにかけるつぶやきともとれる言葉がまたにくい。

「生き延びろ!今までご苦労だった。絶対死ぬなよ。オレの後任はお前しかいないんだ」

ワンピースの魅力のひとつは、敵であれ、味方であれ、今回のハンニャバルのように、打算抜きに素朴な正義に生きる人物、ルフィーに代表されるような命をかけて仲間(それがたいして知らぬ他人であっても)を助けるために立ち上がる人物たちが、臆面もなく正面から描かれているところにあるのではないだろうか。

社会が複雑化し、価値の多元化というポストモダニズムが席巻する中にあって、恥ずかしげもなく「正義」を語り、「友情」のために命をかける個性的なキャラクターが目白押しのワンピースは、そうした意味では、社会に対する痛烈な批判を含む。

現実社会にあっては理想としかいいようのない「人を信じる熱い友情」、「自分のことをかえりみない自己犠牲」、「夢を追い求める並々ならぬ努力」という本気で語ろうとすれば「笑い飛ばされるのがおち」となるであろう「いわゆる理想郷(ユートピア)」を笑いと涙をふんだんに盛り込んだ漫画・アニメとして正面から描き出している点は、作者の力量とも言うべきものだろう。

シニカルな現実をありのままに描くアニメが多い中、ワンピースは特別な魅力を放っているが、その理由のひとつはこのあたりにあるのではないだろうか。

■おまけ

デイリービールはやっぱりこれ。サッポロ ホワイトベルグ [ 500ml×24本 ]

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次